深川から旭川に向かって走っていると、「神居古潭」という標識が出てきます。
その先には神居古潭トンネル。
どうやらこのあたりが、北海道にいくつかあるカムイコタンの内の一つらしい事が分かります。
カムイコタンの意味は、そのまま訳してしまえばカムイ=神、コタン=村。
すなわち「神の住む場所」ほどの意味になりますし、実際にアイヌ語の地名解説の書籍などを調べても、そんな風な説明がほとんど。
しかぁーし!!、自らアイヌ民族で、その短い生涯をアイヌ語研究にあてた知里真志保博士によれば、カムイコタンとは「神の住む場所」というよりも、むしろ「魔物が棲む難所」という解釈をされていました。
実際に道内のカムイコタンと言う地名の場所に行ってみると、そこは岩礁だらけの川で、舟では越える事の難しい激流の難所です。
鬱蒼とした原生林に獣道(けものみち)程度しか無かった陸地を進むよりも、川を水路として丸木舟で移動していたアイヌ民族は、カムイコタンに入ると舟を川から上げて、流れが穏やかな場所まで舟を持って陸を進んだと言います。
正にカムイコタンは「魔物が棲む難所」だったんですね。
えーっ、でも神居古潭は神様が棲む場所みたいだよ?
神居大橋と言うつり橋の下。
岩怪石が広がるものの、川の流れは非常に穏やか。
ここは「パラモイ:para-moy=広い-湾」と呼ばれている場所で、昔はここで丸木舟を陸揚げして、流れの穏やかな春志内まで陸行したそうですが…
神々しいという言葉がピッタリの、荘厳な風景が広がります。
全然穏やかじゃん。ホントにここが魔物の住む場所なの~?!!
上流に魔物を発見!!
神居大橋の下あたりで舟を陸揚げして春志内まで陸行したということなので、川沿いの道を上流に向かう事にしました。
そうしたら…
白波が立っていて、難所らしい風景に出会えました。
地形的に見て、神居大橋の下は川幅がかなり狭くなっているので、岩だらけの橋の下は本来は激流だったと考えられます。
洪水対策その他で上流に人の手が加わったことで、水量も大分減ってしまったんでしょうね。
しかし今でも大雨が降ると相当な暴れ川になる様ですから、やはりここは魔物が棲む難所なのかもしれません。
前出の知里真志保博士によれば、この辺りの原名は「シュポロ:shuporo=激流」であり、
道内にはカムイコタンとシュポロがセットになっている場所がいくつかあります。
夕張川上流の滝の上公園付近、空知大滝の下流のカムイコタン、幌加内町の雨竜川の渓谷とシュポロなどなど…。
どこも剥き出しの岩場と激流のために、舟から降りざるを得なかった難所だった様です。
その昔舟行の難所であったところは、見方を変えれば自然が豊かな場所でもあります。
特にここ旭川の神居古潭は、紅葉の美しい場所としても有名ですね。
紅葉狩りの季節、お出かけしてみてはいかがでしょうか?
【旭川カムイコタン】
〒078-0185 北海道旭川市神居町神居古潭
この記事を書いた人:hoshiboo